黄金寺院の食堂に通い毎日野菜を切っていましたが、
こちらの記事は【無料食堂・聖水編】です。
お寺に行く途中の道で、水の入った巨大なバケツを毎朝同じ場所まで運ぶターバンのBABAがいました。(BABA:修行僧(サドゥー)や年上の人または尊敬すべき人への呼び掛けの言葉)
ある日、気になったので聞いてみると、BABAが嬉しそうに答えてくれました。
B「これを飲むと体が清められる。みんなが飲みたい時にすぐ飲めるようにここで配っている。グッドカルマでやると良いことが返ってくるから一緒にやりなさい。」
私「おー!やります!」
実は、この水は黄金寺院の周囲にある池の水で、不老不死の池(アムリタ・サロヴァル)と呼ばれています。ここはその大変ありがたい聖水(ホーリーウォーター)
面白そうなのでその日からBABAと街角で聖水を配ることにしました。BABAはこの行動を「セーワー」と言っていました。
SEWA:ヒンディー語に、サンスクリット語から由来する、सेवा(sevā:セーヴァ-)という単語がある。奉仕という意味があり、発音も「世話」の発音と似ている。日本語の「世話」の語源にもなっている。
目次
誰でもできる!聖水の配布準備 簡単3ステップ+α
では、BABAが数分後には配りたいと言うので開店準備を始めます。
①黄金寺院の池から水を汲んで運ぶ
滑車ごと寺院の中に入り、巨大

②網で濾して、細かいゴミを取る
これが大事なステップ。

③コップに汲んで並べる
キレイに濾した水をカップに注いで並べておく。

④髪の毛を隠す
黄金寺院の敷地に入る人は全員スカーフやターバンで髪を隠して入
私の頭を見つめ、困ったBABAは近くのインド女子大生に何やら話しかけ、
髪の毛全然隠れてないけど、いいのかな?
⑤声出しの練習
街角でやるので、シク教の挨拶を教えてもらいました。
B「ワッヒーグルデカッサール、ワッヒーグルデファテ!
私「わっひー…?」
B「NO!ワッヒーグルデカッサール、
私「ワッヒーグル…デカッサ…?忘れました!」
長すぎて覚えられません。手にカタカナで書いてメモします。
⑥お清めの儀
聖水準備完了、声出し練習完了、そして最後にBABAが言いました。
B「聖水を配るのだから、まずは自ら飲んで体を清めなさい。」
私「!!Σ(°д°)」
この水は…朝みなさん沐浴してたし、お魚がたくさん泳いでいたような…

まあ死にはしないだろう…BABAに見守られながら、腹くくって1杯飲みました。濾してあるので、ゴミもなく口当たりは滑らか、ほんのりお魚の風味。今後の私のお腹が心配ですが、これで準備が整いました。
驚くべき聖水の力!引き寄せられるインド人たち
さて、開店です!配ると言っても、看板がある訳でもなく、
まさかそんなに来ないだろうとタカをくくっていた私。
開始10分後、最初のお客さんが立ち寄りました。
すごい、全部飲んだ…カップには400mlくらい入っています。
その後すぐ赤ちゃんを抱いた夫婦が来ました。
おかわりって…これ味付いてる?って思うくらいの飲みっぷり。
そして30分後、
たくさん荷物を持って自転車をこいでるおじさんが、
すごい…この水はすごい!
1時間で立ち寄った人数73人。通った人はほとんど飲んでいく+
30個くらい出したカップはどんどん空になり、(濾した聖水で)
一度に入れる量が多いので、聖水がすぐ足りなくなり、
繁盛してるタピオカ屋さんってこんな気持ちかもしれない。
黄金寺院のお寺と同じように、ここでも聖水を配るのは誰でもOK。学校帰りの学生や散歩で通りかかったおじさん達も参加し、新入りの私に衛生指導が入りました。
インドでは、他人が口を付けた食器を触るのは不浄とされています。聖水コーナーでは、うっかり触れると聖水をかけて再度清めなければいけません。忙しくて使用済のカップを手で一度受け取ってしまい、
15時になると、BABAはお腹が空いたからランガールにご飯(
観光客の私にとってはただの池の水でも、シク教の人たちにとっては生活の一部になっている大切な水です。この聖水コーナーでは、その日常の暮らしを垣間見れたのでとても素敵な時間でした。が、終わってからめちゃくちゃ念入りに手を洗いました。
さらに輝く黄金寺院!グル・ナーナクの誕生日
夕方、黄金寺院に戻るといつもと様子が違います。入口付近ではロウソクが売られ、


お寺を囲むように四方はたくさんのロウソクが灯り、

インドのyoutubeでグル・ナーナク誕生日の動画を見つけました。
こちらでお寺の雰囲気が分かります。(再生時間45秒)
(引用:ANI NEWS OFFICIAL)
このお寺にある四方のゲートは、どこの場所からでも入れます。
カーストに関係なく他人への奉仕をし、働いて社会に貢献することで輪廻転生を繰り返し、神に近づくことを目標とするのがナーナクの教えです。
インドの他の場所ではカースト制がまだ根強く残る中、シク教は「寛容の精神」を重んじている他に例のない独特の宗教なのです。
そんな懐の深いシク教徒が過ごす、1年に1度の特別な夜でした。
私もお寺を眺めながら横になって寝ようとしましたが、
※グル・ナーナク誕生日は旧暦で決まるため毎年変わります。
2020年日程:11月30日