インドが毎年ぐんぐん他の国を追い越すような勢いを増していますね。 ある記事では、2030年インドのGDPは日本を抜いて世界3位にまでなるとも言われています。インド人恐るべし。
インドの国旗についても意外と検索されています。私も国旗の意味までは知らなかったので調べてみると、結構ざっくりした記事しかないので自分でまとめました。
インドの南京錠取り寄せて解いてみた
インドの子どもはみんな知ってる【オレンジ・白・緑】3色の国旗の意味
8月15日はインドの独立記念日です。
YouTubeには子ども達が自分の国のシンボルや国旗の意味についてスピーチしたり国旗の手作り製作をする動画がたくさん載っています。 インドの子はどういう風に国旗のことを教わってるんでしょうか?
1日中動画を漁り、こんな覚え歌があったので載せておきます。頭に残るメロディで、歌詞がめっちゃ分かりやすいんです。
オレンジ色(サフラン)…勇気と犠牲、強さ
【動画の歌詞:Strength says Saffron】
(仏教が中心のタイのお寺。みんなオレンジ色の布してます。)
インドは仏教もヒンドゥー教も生まれた国です。
そしてどちらの宗教にとってもサフラン色は神聖で重要な色。仏像はサフラン色の布で包まれ、東南アジアでよく見かけるお坊さんの袈裟も同じ色ですね。
ヒンドゥー教のサドゥ(修行者)もこの色の布をまとっています。
オレンジ色は、違う宗教でもお互いに許し合い、受け入れる姿勢を表す色です。
白色…平和と真実
【動画の歌詞:Peace says White】
(白い服来たサラスワティー様。背景のお花も白でキマってます。)
インド哲学によると、白は知性を表します。
ヒンドゥー教の女神・サラスワティー(日本の弁天様ポジション)は学問と芸術の神様で白い服を身に纏っています。賢そうな感じしますね。
国旗の中央に白色をおくことで、元々1つの国で一緒に住んでいたヒンドゥー教(サフラン色)とイスラム教(緑色)の和解を表しています。
緑色…大地の恵み、国の繁栄、始まり
【動画の歌詞:Green says Growth day and night】
(緑が映えるモスク。パキスタンの国旗も緑です。)
イスラム教の人たちにとって、緑は開祖・マホメットのターバンの色でもある神聖な色です。ほんのり緑がかったモスクとかも多いですね。
国旗の緑色は、インドに住むイスラム教の人たちを表し、国内が緑溢れる豊かな国であるようにという意味が込められています。
青色…宇宙の真理、空、海
【動画の歌詞:Bhudda’s teachings in the chakra blue】
みなさんがインド国旗を見た時に「?」となる、この中央にあるマークはインド初の統一に成功したアショーカ王の教え・心理(ダルマ)を意味します。
まだこれ何だか意味不明ですね。詳しくはこの次の見出しでご紹介。諸説ありですが1つ前の国旗:ガンディーの糸車にも似ているからという説もあります。
こんなのもあった!昔の国旗のデザインについて
(右側写真参考:faridabadblogより)
何回かデザインの変更を経ていますが現在のインドの国旗になる一つ前は、中央に糸車(チャルカ)が配置されていました。これを使って作る布(カディ)は1本1本丁寧に織られるインドの国産品です。
これはイギリスの植民地時代、ガンディーを筆頭に海外製の輸入品を断ち切り、自分たちで紡いだ服を着よう、自分たちの足で立ち上がって自由を掴もうというインドの人たちの希望も紡いだ象徴となり国旗に採用されました。
アショーカって何?誰?プロフィール紹介
では、国旗の真ん中の絵に関わるアショーカ王ってどんな人物でしょうか?後世に名を遺すくらいなのでドラマティックな人生を歩まれたようです。分かりやすいようにプロフィール形式でかんたんにご紹介します。
名前 | アショーカ/Asoka/अशोक |
---|---|
出身地 | インド東部・パータリプトラ(インドの大半を最初に統一したマウリヤ朝の都。 |
生年月日 | 紀元前304年 |
家族関係 | マウリヤ朝チャンドラグプタの孫。兄弟99人/父親と仲が悪かった |
あだ名 | チャンダ・アショーカ(暴虐アショーカ) |
キーワード | インド統一/兄弟惨殺/カリンガ戦争/法の政治/仏教の布教 |
伝説①尖ったナイフ!兄弟99人と大臣500人を殺す
兄弟が99人もいたと言われるアショーカ王は、優秀だったけど父ちゃん(ビンドゥサーラ)と仲が悪く、嫌われていたそうです。ある時、自分のいない間に後継者を選ぼうとしたことを知りブチ切れたアショーカは兄弟もろとも大勢を手にかけ、王位を勝ち取ります。
その後も大臣たちからディスられ、言うことを聞かないことに腹を立てて大臣たち500人の命も奪ってしまいます。「通った跡は全て焼き払われる」と言われるくらいの暴君。飛ぶ鳥を落とす勢いで、秦王の「中華統一!」ならぬ「インド統一!」を成し遂げました。
もう誰にも止められません。
伝説②カリンガ戦争で我に返る王様…心を入れ替える
昔々、インドの南側・デカン高原あたりはカリンガ国という国がありました。この国欲しい!ここにアショーカ王は捕虜15万人を奴隷として送り、そのうち10万人を殺したと言われています。(カリンガ戦争)
結果、アショーカ王側が征服に成功。しかし、今までの自分を反省。自分は何てことをしてしまったんだ…涙(散々殺した後ですが)。
これからは人のためになることをやっていきます!ということで仏教を広め始めます。
伝説③「キングダム」インド版!法の力で国を治める活躍
仏教(ダルマ)に目覚めたアショーカ王、ブッダの骨とその教えをインド全土(84,000ヶ所)に広めて回り、民衆のために病院の建設、井戸を掘り、道路を整えるなど一生懸命精を出すアショーカ王。
あらまあ、あの暴君が?まるで別人です。その後戦争を起こすことはなくなったと言います。(諸説あり)
仏教の規律や教えは石柱に残していきました。そこに刻まれたアショーカ王のマークは、暴君から民のために尽くしたアショーカ王を称え、現在のインドの国旗にも使われています。
子ども向け動画でアショーカ王の人生を3分で辿る
では、上記で説明した歴史とアショーカ王の壮絶な人生がアニメで復習できます。英語ですが絵だけでも何となくわかるかと思います。お時間ある方はどうぞ。
真ん中の絵にはまだ意味がある?さらに深いインドの魂を知る
アショーカ・チャクラ(法輪)が24本あるのは意味がある
ここまでで、国旗の真ん中=アショーカ王の教えということが分かりました。
アショーカ王は仏教を広めた人なので、その輪には何重にも意味が込められていると言われています。これって調べ始めたら底なしで、どんどん色んな情報が出てきます…その中で信憑性の高いものをまとめました。
チャクラとはどんなもの?
画像出典:Fandom
昔使われていた円形状の武器のことで、チャクラムと呼ばれています。アショーカ王と同じように法(ダルマ)で国を治めた王様の武器の1つだったと言います。
インド国民として…アショーカ・チャクラとは?
①Love(愛すること)
②Courage(勇気があること)
③Patience(忍耐強くあること)
④Peace(心穏やかであること)
⑤Magnanimity(寛大であること)
⑥Goodness(善であること)
⑦Faith(信念を持つこと)
⑧Gentleness(優しくあること)
⑨Selflessness(無欲であること)
⑩Self-Control(自制できること)
⑪Self Sacrifice(自己を犠牲にできること)
⑫Truthfulness(誠実であること)
⑬Righteousness(正しくあること)
⑭Justice(公正であること)
⑮Mercy(慈悲深くあること)
⑯Gracefulness(優雅であること)
⑰Humility(謙虚であること)
⑱Loyal(忠誠を尽くすこと)
⑲Sympathy(共感すること)
⑳Spiritual Knowledge(神や目には見えない精神的な力の知識を持つこと)
㉑Forgiveness(許すこと)
㉒Honesty(正直であること)
㉓Eternity(永遠であること)
㉔Hope(希望を持つこと)
これ全部こなせたら、もはや人間ではなく仏にほとんど近いのではないでしょうか。
24本ある理由:宗教に関係なくすべてのインド人が目指すべき資質・価値観であるようにという意味が込められています。
輪になっている理由①:インド全土に24種類の価値観が広がり、国民が自分自身をコントロールするマインドを培うため。
輪になっている理由②:24本→24時間(1日)中、休むことなく進み続けることでインドがよりよい国になることを目指すため。
ヒンドゥー教として…アショーカ・チャクラは?
(Gayatri Mantra 108 times Anuradha Paudwal I Full Audio Song I T-Series Bhakti Sagarより)
マントラって聞いたことありますか?インドで古くから伝わるサンスクリット語の言葉で「瞑想やお祈りの時に唱え、心の波長を整える」というものです。だんだん話が怪しくなってまいりました…。
ヒンドゥー教的に考えるとチャクラの24本線は、ヒマラヤの麓で覚醒した24人の聖人(リシ)を表します。この聖人のおっちゃん達、何がスゴいって、唱えればみんな幸せ・ヒンドゥー教における超最強マントラ「ガヤートリー・マントラ」を編み出したのです。(呪文みたいなやつ)
マントラは24の音節で24か所の肉体に共鳴すると言われています。インドの父・ガンジーやサイババもこれを唱えると病が治ると推してたそうですよ。
唱えたい人は1クール108回です。煩悩と同じ数ですね。これを数クール繰り返すと良いとか。頑張ってください。聞き流しもOK。
仏教から見た…ダルマ・チャクラとは?
仏教では、チャクラの中の線は元々は8本でしたが、12本だったり、24本だったり、31本だったりします。全て異なるブッダの教えを表しています。
仏像ができる前までは8本の教えが王道だったようです。
8本の場合…八正道(人としての正しい行い)
・正見(しょうけん):物事を正しく見ること
・正思(しょうし):正しく考えること
・正語(しょうご):正しい言葉を語ること
・正業(しょうごう):正しい行いをすること
・正命(しょうみょう):正しくて健全な生活を送ること
・正精進(しょうしようじん):正しい努力を続けること
・正念(しょうねん):仏の教えを正しく心に留めること
・正定(しょうじよう):正しく瞑想すること
輪になっている理由:車の輪が回り続けるように、未来に向かって永遠に人々に届き、広められていく仏の教え=仏法を表す。
輪になっている理由(12本の場合):人間が生まれてから老いるまでのサイクルで、生きている間に繰り返す苦しみを表す。 ←乗り越えると悟りの境地へ。超絶ムズイと思います。
仏教仏教言ってるのに、インドの8割はヒンドゥー教?
小難しいからじゃないでしょうか。修行とか必要だし。
厳しい気候や、身分制度もあるし、人口だって多いし貧富の差が激しいインド。どんどん受け入れてガンガン進んでいかないと。一般市民は自分を戒めてる余裕ないと思います。
なので仏教は意識高い系の考え方で、「神さまを信じればいいことあるよ★」くらい分かりやすいヒンドゥー教の方が民衆に広まったのは分かる気がします。
まとめ
もう3日間国旗について調べまくったのでとっても理解が深まりました。ですが、国旗→信念→宗教→宇宙の真理…と繋がっていて、かなり壮大な沼にハマっていきそうでここまででストップします。意味が深すぎて酸欠になりそうでした。笑
さすがインドは歴史が長いだけありますね。 最後まで読んでくださる方はいるのでしょうか。私もさらに勉強すれば、この辺のテーマでいつか記事を書けるかもしれません。
参考サイト: 文藝春秋:【質問2】お釈迦様はインドで生まれたのに、いまインド人のなかで仏教徒は1%もいないそうですね。なぜ、インドで仏教は廃れてしまったのでしょうか?
養老山 立國寺 出世観音:「悟りへの道「十二因縁」
One Tribe Apparel: “THE MEANING OF THE DHARMA WHEEL”
Govtjobtips:“National Flag of India”
Wikipedia:アショーカ王 真言宗智山派
吉祥院:「仏教って何だろう?【5:釈尊の教え「八正道(はっしょうどう)」】」
Flying Deity Tobifudo:「やさしい仏教入門」