街角でお寺の水(聖水)を配ったことはありますか?味も何もついてない、でも街のみんながバンバン飲み干していく様子を目の当たりにした私の不思議な体験です。
みんな真剣、日常の一部なので当たり前なのですが何だかシュール。これだからインドは奥が深くてやめられません。
ニンニク剥き1日5時間!お寺のカレー作りにも参加してきました
おもしろインド体験!アムリトサルの街角で聖水配り
手伝うことになったきっかけ
インド・アムリトサルに滞在中、黄金寺院でカレー作りのボランティアをしていた私。お寺に行く途中の道で、水の入った巨大なバケツを毎朝同じ場所まで運んでいるBABAがいました。(BABA:修行僧(サドゥー)や年上の人または尊敬すべき人への呼び掛けの言葉)
ある日、気になったので聞いてみると、BABAが嬉しそうに答えてくれました。
B:これを飲むと体が清められる。みんなが飲みたい時にすぐ飲めるようにここで配っている。グッドカルマでやると良いことが返ってくるから一緒にやりなさい。
私:おー!やります!
実は、この水は黄金寺院の周囲にある池の水で不老不死の池(アムリタ・サロヴァル)と呼ばれています。BABAはそこから毎朝水を汲んできて、街の人に配るため滑車で運んでいたのでした。
シク教徒にとってその大変ありがたい聖水(ホーリーウォーター)
黄金寺院と同じルールで誰でも手伝ってよいらしく、私はその日からBABAと街角で聖水配布活動の参加を表明。BABAはこの行動を「セーワー」と言っていました。
SEWA:ヒンディー語にサンスクリット語から由来する、सेवा(sevā:セーヴァ-)という単語で奉仕・助け合う仲間という意味があります。
日本語の「世話」の語源にもなっていて、日本とインドは遠いようで繋がっていますね!
誰でもできる!聖水の配布準備 簡単3ステップ+α
①黄金寺院の池から水を汲んで運ぶ
(小学生の子どもが3人くらいは入れそうな大きさ)
早速BABAが数分後には配りたいと言うので開店準備を始めます。重たい滑車を引っ張って寺院の中に入り、巨大
②網で濾して、細かいゴミを取る
(心を込めて聖水を濾します)
これが大事なステップ。
③コップに汲んで並べる
(並べ方は順不同で置いていく)
キレイに濾した水をステンレスのカップに注いで並べておきます。お客さんが飲んで数が少なくなったら、カップを洗ってまた新しく注ぎ足します。
100~200mlくらいかと思ったら、結構並々ついでます…400mlくらいあるんじゃないでしょうか。これホントにみんな飲むのかな?
④髪の毛を隠す
黄金寺院の敷地に入る人は全員スカーフやターバンで髪を隠して入
何も隠れていない私の頭を困った顔で見つめたBABAは、近くのインド女子大生に何やら話しかけ、
そしてそのタオルを私の頭の上へパサっと乗せ、「OK!」
⑤声出しの練習
街角でやるので、次は元気に開店前の発声練習です。シク教の挨拶を教えてもらいました。
B:ワッヒーグルデカッサール、ワッヒーグルデファテ!
私:わっひー…?
B:NO!ワッヒーグルデカッサール、
私:ワッヒーグル…de…kasa?忘れました!」
長すぎて覚えられません。何とか私に覚えさせようとBABAも必死です。もう諦めてカンニング用に手にカタカナで書いてメモしておきました。
インドのおもしろ体験・占い編
⑥開店直前!聖水でお清めの儀
聖水準備完了、声出し練習完了、そして最後にBABAが言いました。
B:聖水を配るのだから、まずは自ら飲んで体を清めなさい。
私:…え!?Σ(°д°)
この水は…この目に間違いがなければ、お寺でみんなが全裸で沐浴してたし、お魚がたくさん気持ちよさそうに泳いでいたような…
(巨大な鯉の群れと楽しそうに裸足でたわむれる子供たち)
まあ死にはしないだろう…BABAに見守られながら、腹くくって1杯飲みました。網で濾してあるので、ゴミもなく口当たりは滑らか、ほんのりお魚の風味。
今後の私のお腹が心配ですが、これで準備が整いました。
驚くべき聖水の力!引き寄せられるインド人たち
(日本人が聖水配ってるので、珍しくてターバンのおじさん集まってきちゃいました)
さて、開店です!配ると言っても、看板がある訳でもなく、
まさかそんなに来ないだろうとタカをくくっていた私。
開始10分後、最初のお客さんが立ち寄りました。
すごい、全部飲んだ…カップには400mlくらい入っています。
その後すぐ赤ちゃんを抱いた夫婦が来ました。
おかわりって…これ味付いてる?って思うくらいの飲みっぷり。
そして30分後、
たくさん荷物を持って自転車をこいでるおじさんが、
すごい…この水はすごい!
1時間で立ち寄った人数73人。通った人はほとんど飲んでいく+
30個くらい出したカップはどんどん空になり、(濾した聖水で)
一度に入れる量が多いので、聖水がすぐ足りなくなり、
繁盛してるタピオカ屋さんってこんな気持ちかもしれない。
黄金寺院のお寺と同じように、ここでも聖水を配るのは誰でもOK。学校帰りの学生や散歩で通りかかったおじさん達も参加し、新入りの私に衛生指導が入りました。
インドでは、他人が口を付けた食器を触るのは不浄とされています。聖水コーナーでは、うっかり触れると聖水をかけて再度清めなければいけません。忙しくて使用済のカップを手で一度受け取ってしまい、
15時になると、BABAはお腹が空いたからランガールにご飯(
観光客の私にとってはただの池の水でも、シク教の人たちにとっては生活の一部になっている大切な水です。この聖水コーナーでは、その日常の暮らしを垣間見れたのでとても素敵な時間でした。が、終わってからめちゃくちゃ念入りに手を洗いました。
コロナ禍のインドであった本当の話まとめ
さらに輝く黄金寺院!グル・ナーナクの誕生日
夕方、黄金寺院に戻るといつもと様子が違います。入口付近ではロウソクが売られ、
このお寺にある四方のゲートは、どこの場所からでも入れます。
カーストに関係なく他人への奉仕をし、働いて社会に貢献することで輪廻転生を繰り返し、神に近づくことを目標とするのがナーナクの教えです。
インドの他の場所ではカースト制がまだ根強く残る中、シク教は「寛容の精神」を重んじている他に例のない独特の宗教なのです。
そんな懐の深いシク教徒が過ごす、1年に1度の特別な夜でした。
私もお寺を眺めながら横になって寝ようとしましたが、