インドを旅していると、インド人のたくましさに脱帽します。今考えたら確実にぼったくりだと分かりますが、目の前でやられると騙されてしまうことも…実際に経験した・旅中に被害に会った人に出会った体験談をまとめました。
ラクダの祭りで超優しいインド人に助けてもらいました
以下、あやしい人リストです。
①ようこそインドへ!肩もみチップ請求おじさん
バラナシの朝日を見ようと、宿で会った大学生とボートでガンジス川の対岸に行くことにした。対岸に到着し、数分歩くと白いヒゲでビーサン履いたおじさんがニコニコしながらこちらに向かってくるのが見えた。
「ウェルカム、ウェルカム」とシワシワの右手をこちらに出してきたので、私の隣にいた大学生が握手をしようと手を差し出した瞬間、そのまま右肩をがっちり掴んで離さなかった。「ノープロブレム!グッドマッサージ!」と、上半身を30秒程適当にモミモミしてまた右手を突き出し「100ルピー,OK?」と相場の10倍チップを請求。
「頼んでない!」と揉めていたら、他の肩もみおじさんがわらわらと5~6人集まってきてしまい、客の取り合いになってる間に逃げました。
②催眠術?神様へ高額ドネーションビジネスBABA
BABAとは、インドで聖者や悟りを開いた魂に対して尊敬を込めた呼び方のこと。体を白く塗って、額に模様を描いていたりする。インドの人は沐浴前にBABAの下でお祈りしている姿を見かける。
手口としては、お祈りに必要だからとターゲットを呼びつけ、何やら唱えながら神様へ捧げる寄付金を払うよう促してくる。客引きとグルの時は、お供え用のお花を渡されそのままBABAの元へ連れて行かれる。
バラナシのメインガード付近で、散歩をしていた時のこと。目の前の客引きがガンジス川に流すためのお花を配っていた。他のインド人も貰っていたので、私も貰ったら「BABA is waiting for you(BABAが待ってる)」と言われ、そんなものかと思って手招きしているBABAの下へ。
するとすぐにお寺に行くとよく見る儀式が始まった。右手に赤い紐をグルグル巻かれ、おでこにも赤い点を付けられた。「今から私が言うことを真似しなさい」とBABAが言い、目を閉じて唱え始めた。
B「Lord Shiva(シヴァ神、バラナシの神様の名前)」
私「Lord Shiva」
B「I will give you 500 donation(私は500ルピー寄付します)」
私「I will give 500 dona..え!?何で!?」
びっくりしてBABAの顔を見ると、早く金を出しなさいと言わんばかりの顔で頷いている。インドの物価は安い。7ルピー(10円)で一杯チャイが飲めるし、4km乗り合いタクシー20 (30円)ルピーで行ける。これは…カモられている。
B「家族は何人だ」
私「5人です」
B「では一人500ルピーだから全部で25000ルピー(1万6000円くらい)出しなさい。ジャパニーズマネー、ノープロブレム。」
私「!?」
値段をさらに釣り上げてきた。明らかにおかしいので、少しだけBABAにあげてその場を去った。あやしい催眠術をかけられてるようでした。
③ユーアーマイフレンド!宝石運び屋詐欺
こういう詐欺氏に限って見た目は小綺麗で印象も良い。フレンドリーに話しかけて、信用させてから日本でビジネスをするため宝石を送りたいと言い始める。後で数倍にして返すから代わりに買ったことにしてくれと、ターゲットにクレジットカードで高額支払いを要求し断ると支払うまで軟禁状態にすることもある。
これは宿で出会った日本人男性から聞いた話。宝石の街・ジャイプールを観光していた時にインド人のラジュという男性と街中で出会った。日本語も上手くて、着てる服も高そうで生活に困ってなさそうな印象だった。
一緒に色々回ったりして信用し始めていた頃に「宝石ビジネスをしないか」と話を持ち掛けられた。日本の自宅の住所に送ってもいいかとしきりに聞いてくる。さらに「関税の手続きが大変だから」「君はフレンドだから」と頼み込まれ、断り切れず次の日にまた会って返事をすることになっていた。
しかし、ラジュと別れてから気になることが…ふと後ろを振り返ると一定の距離を保って電話をしながらずっとついてくる別のインド人の姿…!実は監視役を付けて逃げないように行動を見張っていたのだった。電話でラジュに状況を報告していた。さらに自分の名前が会話に何度か出てきたので男性は怖くなり、宿に戻って別の日本人に相談したら、詐欺だと分かったので翌日他の街に急いで逃げた。
そのままだったら何かに巻き込まれていたかもしれない。無事でよかった。
ちなみにこの男性は、私でもお金を踏んだくれるんではないかと思うくらい良い人オーラが出ていた。良いカモに見えたのかもしれない。その後も旅を続けて詐欺師の入れ食い状態が続いたらしく、今では立派なインド通となりました。
④今なんどき?お釣りちょろまかし落語系詐欺
私がプシュカルのカフェでお金を払おうとした時の話。お店は小さいけど、メインの通りから離れていたのでそんなに混んでいなかった。
私が飲み食いしたお値段は350ルピー(530円くらい)、しかし財布には細かいお金がなく、500ルピー札(760円くらい)しか持ち合わせていなかった。何となくポケットを探ってみると、50ルピーが入っていた。近くにATMも無いし…しょうがないのでこれで払うことにした。
店員の男の子は髭の似合うさわやかインド人。さて、これから1分の間に不思議なことが起こる。
550ルピー渡して、200ルピーのお釣りをもらえると思っていたのに、何故か50ルピーだけ私の手元に戻し、裏口に消えていった。お釣りを用意してくれているのかと思い、戻って来て渡されたお札は100ルピーだった。
店「500ルピーもらったから、150ルピーのお釣りだよね?いま君の手元には何ルピーある?」
私「(自分が出した)50ルピー」
店「そして、これが100ルピー、はい。今全部で何ルピーある?」
私「150ルピー」
店「じゃそれでOKだね!またね!」
私「え!?何で!?」
お分かりいただけただろうか。お釣りの150ルピーのうち、50ルピーを私の手元に残し、自分が持ってきた100ルピーと合わせてごまかすやり口だ。
ちょっとインドに慣れてきていたので、ピンときました。こいつ分かってやってるなと。50ルピー足りないよって怒ったらしぶしぶ返してくれました。確信犯に間違いない。
⑤ホテルもタクシーも全部グル!悪徳旅行会社集団
おっかなびっくりインドに降り立った観光客に声をかけ、タクシーでグルになってる旅行会社に連れていき、高額のツアーを組ます。金額を支払うまでターゲットは軟禁状態にすることもある。
屋台でたまたま会った日本人男性の話。日本からデリー空港着は深夜便が多く、ぼったくりのドライバー頻出スポットとなっている。深夜1時、市内へのタクシーを捕まえようと声をかけてきたインド人と値段を交渉し、車に乗り込んだ。しかしそこが運の尽き。彼は観光客を狙う詐欺集団の一人だった。
車内ではドライバーがカタコトの日本語で気さくに話してくるので、初めてのインドで安心していたとのこと。20分後、ふと気が付くと明らかに市内とは別の場所を走っている。周りは真っ暗で飛び降りるのも怖い。本当に市内のホテルに行くのか聞いてみても、「ノープロブレム!」とか返ってこない。そして到着した先は、ボロいアパート。荷物を持って一緒に付いてくるように言われた。
部屋に入ってみると、恰幅の良い髭の似合うインド人男性と細身のボロボロのジーパンとサンダルを履いたインド人男性が待っていた。すぐ部屋には鍵をかけられ、髭の男性が机にインドの地図が広げ、行きたい場所を聞かれた。
かなりあやしいが、タージマハール、ガンジス川…などと答えると、「旅行会社だからチケットを手配してあげよう」とどこかに電話をかけ始めた。
数分後、PCに何やら入力し、かなり古いプリンターがカタカタ動き始めた。彼がプリントアウトしていたのは請求書で、ホテル、インド国内を回る電車のチケット、タクシー代全て込みで日本円にして15万円程だった。
明らかにおかしい値段だが、怖かったのでカードで支払ってしまったらしい。私がこの日本人に出会ったのは、この悪徳旅行会社の手配で旅をしている途中だった。ホテルはシャワー無しの汚いドミトリーで、毎日彼らから携帯に連絡が来るらしい。
自分で手配すれば全て数百円で済んだのに…しかし彼は払ってしまったからこのまま旅を続けるよ…と哀愁漂う背中で街中の雑踏へ消えていった。
⑥名札も自作!自称政府公認なんちゃってガイド
入場ゲート付近で待ち伏せし、ターゲットに偽造の「政府公認ガイド」の名札を見せて信用させ、高額なガイド料を請求または知り合いの店に連れていく。
アグラにあるアグラフォートを観光しに行った時の話。入場ゲートに向かっていると一人のインド人が声をかけてきた。「ハロージャパニー!トーキョ?オーサカ?」かなりお喋りなおじさんが私の隣に来て、歩きながら自分の首からぶら下げている名札を見せてきた。
チラッと横目で見ると、顔写真と”Government Tour Guides(政府公認ガイド)”という文字が見えた。しかしどう見てもあやしい。だってただの白い紙に手書きで書いてあるから。
適当に流して中に入り、フォート内を見て回った。長時間歩き過ぎたせいか出口でサンダルの紐が切れてしまい、歩きにくいのでサンダルを手に持って裸足で歩いていた。そして外に出ると…「ハロー!ジャパニー!」さっきの男が目の前で手を振っていた。
彼は私のサンダルが壊れているのを見て「ノープロブレム!ちょっと貸して」と言いながら周りを見回し、何かを探しているようだった。そしてどこからか紐を拾ってきて5分程でサンダルをまた履けるようにしてくれたのだった。
本当に嬉しかったし、助かったのでお金を渡そうとすると「お金はいらない。でも一緒に来てほしい店がある。チーププライス、見ルダケタダ。」誰が教えたのか知らないけど、言い方が面白かったのでOKすることにした。
インドでトゥクトゥクに乗ったり、地元のガイドをつけた時、「見るだけでいいから」と頼んでもいないお店に連れていかれることがある。これは新規の客を連れていくことで店からマージンや食べ物をもらえるから。若干店側の視線を感じるけど、見るだけで出てこれるし、欲しいと思ったら購入すればよい。
数分後、彼に案内されて着いたのは古そうな小さなジュエリーショップ。像の置物やポストカードが適当に並べられていて、同じように連れてこられた観光客が数人お土産を見ていた。サッと見て回って出ようかと思っていたら、店長らしきインド人に見つかり、「あれ欲しいか?これ欲しいか?」と怒涛のように色んな物を持って見せてくる。
疲れた…15分程断り続けてようやく解放され、外で待ってた彼を探す。マージンもらって一仕事終えたので木陰で犬と昼寝していた。これがインドか…この日から肩の力が抜けてインドを楽しめるようになったのだった。