おもしろインド

【ワクチンの作り方】遺伝子たんぱくとは?本気出したインドのワクチンビジネス

モディ首相の強いメッセージと共にインド発の壮大なプロジェクトが始動しました。「世界の薬局」インドは全人口13億人中の3億人のワクチン接種を目指します。

世界規模のコロナワクチン接種キャンペーンの幕開け、注目が集まっているインドの動きをまとめて見ていきます。日本は…日本は春先以降でしょうか。

コロナ禍でもポジティブ!インドの100%いい話

【インドのおもしろニュース】日本で注目されてないけど100%いい話!私の携帯はインド製なので、地域コード?がインドに固定されています。毎朝どこにいても一番最初に目に入るのはインド国内のニュースです。 ...

ワクチンの作り方!遺伝子たんぱくとは?インドが本気出した

どうやるの?世界規模のワクチン計画スタートと当日の様子

このスピーチは昨年の9月にニュース動画で流れたものです。この頃には既に今回のキャンペーンについても大まかに触れています。

(Global News: UNGA 2020: India’s Modi pledges to use country’s vaccine production to “help all humanity” 2:49秒)

世界最大のワクチン生産国として、現在の国際社会にもう1つ保証を与えたい。

インドのワクチン生産と供給能力この危機と戦うすべての人類を救うために使います。 ーモディ首相スピーチより一部参照

心強いお言葉です。日本では何が話題になっていたか気になったので調べてみると、菅内閣発足やドラマの「半沢直樹」が大流行りしていた頃ですね。

参考サイト:ニュースデータベース

現場のニューデリーから中継でお届けします!

プロジェクト始動日に、中継でリポートされている様子の動画です(2:30秒~)日本ではインドについての細かい報道はあまりされないので、共有したいと思います。

それでは現場のSiddhantさーん、お願いします。

(WION: India begins the World’s largest vaccination drive | PM Modi | World News 8:39秒) 

テロップ:【速報】モディ首相「コロナ終焉の始まり」

中継意訳:

現在、私はデリーのセーラムにあるインド保健省に来ています。
まもなく、ワクチンの接種が行われようとしているところです。
ご覧の通り、多くの人がインドのワクチン接種開始を見ようと内部に入らないように囲いをしている状態です。
インドのワクチン接種は国内でも過去最大規模で、どのようにインドがワクチン接種に対応するのか世界からも注目が集まっています。

過去にポリオワクチンなど世界150ヶ国に出荷しているの経験があり、
今回は世界中にコロナウイルスのワクチンを届けることに焦点を当てています。

ネパールの首相からも先日、インド国産のコビーシールドのワクチン承認が下りたところです。ミャンマーやバングラデシュなど他の国でもインド産のワクチンを待ち望んでいます。

今朝、この現時点では、誰がインド国内で一番最初に接種をするのか注目が集まっています。

スタジオ意訳:

インド全土で約3000ヶ所センターが設置されて接種が行われ、優先順位は医療従事者やフロントラインワーカーからで、無償で提供されます。

首都ニューデリーを始めとする国内3000ヶ所において朝9時から5時まで、コロナの終焉の始まりとして世界最大のワクチン接種の始動です。

モディ首相も手の消毒やマスクの着用を続けるなど油断はしないようにと促しています。また1回の接種では意味がないので、数週間後に再度接種を忘れないようにしてください。

これから数百万の人々が第一回目の接種を受けるところです。

知ってた?ワクチン大国インド!マーケットシェアは世界一

画像出典元:The Economics Times

さすが「世界の薬局」圧倒的な生産量を誇る

インドで生産されているワクチンは約30憶回分

インド産のワクチン65%が世界へ輸出

Seram Institute of India(SII)は、ポリオ・インフルエンザ・麻疹など世界170ヶ国に向けて年間15億回分のワクチンを生産

・全世界で43憶回分のワクチンが生産されており、インド産は世界の70%を占める



麻婆と言ったら丸美屋、ワクチンと言ったらココ!有名企業2社

①Seram Institute of India(SII) : インド血清研究所

画像出典:SII HPより

世界の子どもが1回は接種するワクチンの65%はこの会社で作られています。インドの世界最大ワクチンメーカーとして、コロナのワクチン製造・販売にも乗り出しました。

コロナウイルスワクチンの開発のため、アストラゼネカ(AstraZeneca)やノヴァヴァックス(Novavax)など国際的な大手製薬会社と共同で研究を行っています。

業種バイオテクノロジー/製薬
設立1966年(55年前)
創業者Cyrus S. Poonawalla(インドの金持ち10位にランクイン)
本社Maharashtra, Pune, India
会長、社長兼CEOAdar Poonawalla(趣味:車集め)
HPhttps://www.seruminstitute.com/index.php

②Bharat Biotech : バーラト・バイオテック

バーラト(Bharat)ヒンディー語で「インド」という意味です。上記のSIIよりも設立は後ですが、全世界に30億分のワクチンを提供という実績のあるバリバリの地元民間企業です。インド国内のワクチンを採取して弱毒化させて開発し、国産ワクチン第一号の名乗りを上げました。

ワクチンの自国生産・供給の確立を目指すインド政府から、開発の支援を受けているため、ワクチンの開発着手が早く、2020年の11月には治験の安全性と有効性が発表されています。

業種バイオテクノロジー/製薬
設立1996年(25年前)
創業者Krishna Ella(好きな食べ物:南インド料理)
本社Genome Valley, Turakapally, Hyderabad, India
HPhttps://www.bharatbiotech.com/index.html



国内で承認済の製品はコチラ!待望のワクチン2種類を紹介

純国産!インド最初のコロナワクチン”COVAXIN

開発元バーラト・バイオテック/国立ウイルス研究所/インド医学研究評議会の共同開発
ワクチンタイプ不活性化ワクチン
保存温度2-8°C
投与回数2回
投与経路筋肉注射

アストラゼネカ共同開発”COVISHIELD

開発元オックスフォード大学/アストラゼネカ/SIIの共同開発
ワクチンタイプウイルスベクターワクチン
保存温度2-8°C
投与回数2回
投与経路筋肉注射

ワクチンの種類が分からない!注目の5ワクチン図解説明

(Kokanet:【新型コロナウイルス研究Part②】感染拡大を防ぐ切り札になるか!? DNAワクチンってなんだ?)

①生ワクチン(従来使われてきた種類)

実際のウイルスの中から毒性の弱いものを選んで増やしたワクチン。効果が高く、はしかや風疹などにも使われている。

②不活性化ワクチン(従来使われてきた種類)

実際のウイルスをホルマリンで加工するなど、毒性を無くした一部のものを投与するワクチン。季節性のインフルエンザなどに使われている。COVAXINはこのタイプ。

③DNAワクチン

(Koka Net:DNAワクチンが新型コロナウイルスを撃退するしくみより)

ウイルス遺伝子のDNAの断片を筋肉注射などで体内に投与し、抗体を作らせて免疫を作るワクチン。

投与されると、人工的に作ったmRNA(遺伝子情報の設計図のようなもの)が作られて、それに反応した免疫が抗体を作る。わざとニセモノ作って、先に体内で抗体を作っておいて、後から本物(コロナ)が来たら攻撃できるようにするってことですね。

④ウイルスベクターワクチン

(やさしいLPS:コロナに効く薬はある?日本で使える治療薬とワクチンの開発状況より)

ウイルスのスパイクたんぱく質を作る遺伝子を、無害な別のウイルスに組み込んで、そのウイルスごと投与するワクチン。

チンンパンジー由来の一般的な風邪のアデノウイルスを弱毒化し、体内で増殖しないように処理をしたものを使っている。英アストラゼネカ社が一生懸命開発してるのはこのタイプ。

⑤mRNAワクチン

(やさしいLPS:コロナに効く薬はある?日本で使える治療薬とワクチンの開発状況より)

mRNA(遺伝子情報の設計図のようなもの)を直接体内に投与すると、ちょっとだけたんぱく質が体内でできるので、それに反応した免疫が抗体を作るワクチン。米のファイザー社が一生懸命開発してるのはこのタイプ。

ワクチン系は難しく書いてある記事が多いので、子ども向けの説明サイトなども読んで調べてみました。一度ワクチンの種類が分かると、ニュースで言ってることも分かってくるので面白いですね。

令和の冷戦?ワクチンを使って犬猿の仲インドと中国のせめぎ合い

中国とインドの仲は昔から悪いです。今後も仲が深まることは難しいかもしれません。そしてコロナウイルスが収束しない現在、この両国間においてワクチンを用いた熾烈な攻防戦が繰り広げられています。

どれくらい両国の仲が悪いか、インド国内で放映されている3Dアニメを紹介しながら説明しているブログを見つけました。アニメに安倍元首相も出てきます。結構面白いのでご覧ください。

まわる世界はボーダーレス:インドと中国はこんなにも仲が悪い

中国のターン、中国製ワクチン購入・契約済の国一覧

東南アジア

インドネシア/ミャンマー/タイ/マレーシア/フィリピン/シンガポール/ラオス/カンボジア

中東

エジプト/トルコ

中南米

ブラジル/ペルー

欧州

ハンガリー/セルビア

アフリカ

セーシェル/モロッコ

東南アジアを中心にグイグイ存在感を増してきています。アメリカやイギリスが先進国中心にワクチンを提供しているのに対し、中国は途上国や周辺の国々へワクチンを配り「コロナ発生の国」からのイメ―ジアップにもなるということですね。

対するインド、モディ首相のターン

画像出典:産経新聞「インド、「ワクチン外交」強化 相次ぎ無償提供 中国に対抗、影響力拡大狙う」

圧倒的な数で中国の周辺諸国にワクチンを無償提供しています。ミャンマーに至っては、中国から30万回分提供→インドは150万回分提供と存在感を見せつけるインド。バングラデシュは最初は中国製のワクチンを使用予定でしたが、コスパ面でインド製に軍配が上がります。

これに加えてブラジルとモロッコにもワクチンを出荷しています。

WHOや各国より続々とインドに届く感謝の声!

ボルソナロ大統領(ブラジル)より  ワクチン200万回分到着

ナマシュカール、(モディ)首相。ブラジルは、この世界的な障害を乗り越えるべく努力する素晴らしいパートナーと持つことを誇りに思います。インドからブラジルまでワクチンを送り援助してくれたことに感謝します。ダンニャワード!

参考サイト:Business standard.com ”Brazil President thanks India for ‘Sanjeevni Booti’”

ゴタバヤ・ラジャパクサ首相(スリランカ) ワクチン50万回分到着

本日、インドから提供された50万回分のCOVID-19用ワクチンを受け取りました。ナレンドラ・モディ首相とインドのみなさん、この大変な時期の中スリランカに寛大さを示してくれたことに感謝します。

参考サイト:mint”India’s gift of 5 lakh doses of Covid-19 vaccines reach Sri Lanka”

首相(ネパール)より ワクチン100万回分到着

早い段階でCOVID-19ワクチンを投与する機会となりました。隣国であるインド、国民のみなさん、インド政府、特にナレンドラ・モディ名誉首相に感謝します。インドでワクチンの展開から、約1週間以内にはネパールに送ってくれたのです。

参考サイト:WION”Nepal PM thanks India for coronavirus vaccines”

テドロス会長(WHO)より

インドのみなさん、ナレンドラ・モディ首相、このCOVID19への継続的な支援を感謝します。共に戦い、知識を共有しなければこのウイルスを食い止め、命を守ることは出来ません。

ワクチンの製造国インドから無償で届けば、途上国からしたらかなり嬉しいし信頼関係も増すのは間違いないですね。色んなワクチンのニュースを読んでたら、どんどん行動して進めていくインドがカッコよく見えてきました。しかし、元々ワクチン製造の基盤もあるからできるというのもあると思います。

本当にできる?夏までにワクチン3億人キャンペーン実施中!

モディ首相が夏までに目標としている3億人もすさまじい数字ですが、全人口は約13億います。インドではこれからグングン気温が上がって暑くなっていきます。保存温度が決まっているワクチンはどうなるのか?

さらにこの膨大な人数×2回接種を終えることが出来るのか?インドの用意した策とはいかに!

インド国産アプリ:COWINからオンライン受付が可能

画像出典:Indianepress.comより

・現段階での対象者:60歳以上の高齢者と45歳以上で一定の基礎疾患を持つすべてのインド国民

・登録に必要な提出物:携帯電話番号、パスポートや運転免許証などの顔写真付きの身分証明書

3/1付けでワクチン接種のオンライン受付登録ができるアプリ:COWINがリリースされています。登録すれば、国内に1万ヶ所以上ある(これがすでにすごい)予防接種センターで一番近い場所を地図から選んで接種の申し込みをすることができます。

さらにさらに、現段階での各州のワクチン接種状況や接種後には、QRコードで証明書も申請できるようになっちゃう優れもの。インドの感染率は世界2位、5人に1人はコロナにかかっているという状況の中、ITを駆使してここまでワクチンの体制が実用化されているのがさすがです。

厳しい夏を迎えるインドの課題!冷たいまま運ばないとダメ

画像出典:https://www.orfonline.orgより

全国保健ミッションによると、インドには国内に28,932ヶ所のコールドポイント(低温物流系)が存在するようです。各拠点では新生児の予防接種などを行っています。しかし、広いインドの僻地までワクチンを届けるとなると…

行ったことある方はご存知、インドには道なき道が存在します。さらにこれからが一番暑い時期で、気温もグイグイ上がっていきます。そこに大量のワクチンを冷やして保管しておく場所と設備が必要になってきます。

しかし、今回のワクチン接種キャンペーンによって、インフラの整備や設備を急ピッチで進めているとのこと。ワクチンだけではなく、今後の物流事情にも嬉しい話ですね!

ちなみに、今ならもれなく接種されたみなさんに素敵なフレーム付きで記念写真が撮影できます。いかがでしょうか。

画像出典: https://www.voanews.comより

まとめ

日本でもようやくワクチン接種が始まりました。自分の番はいつ来るのか、後遺症はどうなのかなど色々気になりますが、インドの迅速な体制作りを知ると国によって対応の差があることが分かります。コロナ収束に向けて進んでいることは確かです(だと思いたい)

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sishamoo
コロナ禍の失業をネットの副業で乗り越えました。クラウドソーシングサイトUpwork6年目、月商60万円達成したので電子書籍書きました! インドの予言書・アガスティアの葉の代行もやっています。一度体験してみたい人はご連絡ください。